愛の戦士ヘッドロココ 2
ロココとマリアはデスゾーンの魔力で病んだキャロルを救うために、愛の泉へと向かった。しかし愛の泉への道を示すはずのプリングの村の泉が枯れてしまっていた。村の泉の水源であるセシールの守護石を竜眼師という悪魔に奪われてしまったためだった。竜眼師はそれだけでは飽き足らず、村に花嫁を献上するように要求していた。話を聞いたロココは村を救うため、また愛の泉の水を手に入れるためにも、竜眼師から守護石を奪い返すと決意した。しかしその竜眼師は居場所がわからない。
ロココはマリアを竜眼師の花嫁の身代わりにして、竜眼師の棲家を探すことを提案した。マリアは「すきでもない男の花嫁なんて!」と反対したが、周囲の説得に負ける。ロココはマリアに「これがあれば、あなたがどこにいてもわかる」と尻尾の羽根を渡す。マリアは予定通り竜眼師に連れ去られ、ロココたちは後を追う。しかし、マリアと竜眼師の結婚式がはじまったころ、ロココたちは竜眼師の城の罠にはまっていた。
一方のかぐやはロココとマリアを心配すると共に、ふたりの愛について複雑なおもいをはせていた。
ロココと神帝たちは、竜眼師の城の床穴に落ちていた。そこには魔メーバというやっかいな悪魔がいた。魔メーバはアメーバ状の悪魔で、敵の攻撃をすべて自分のパワーに変えてしまう。魔メーバにはまるで攻撃が効かない?しかし、一計を案じたロココは魔メーバが吸収しきれないほどの理力を出し、彼を倒す。
その間にも、マリアと竜眼師の結婚式は進行していた。マリアは竜眼師と誓いのキスをさせられそうになり、ピンチに陥っていた。そこへ駆けつけたロココは、竜眼師と勝負する。竜眼師は暴れるマリアを「つよくて優しい女は理想」と戦う。その混乱に乗じて、マリアは守護石を奪い返す。しかし竜眼師の城は石によって保持されていたため、石をなくした城は崩壊をはじめる。
ロココたちは脱出し、追ってきた竜眼師も神帝の活躍で倒される。守護石は村に戻り、愛の泉への道は示された。村の老人・聖結天流は天使と悪魔のふたりが愛の泉に辿り付けるのか心配するが、ヘッドロココとその選んだ相手なら大丈夫だろうと思いなおす。
ここまでで、愛の泉へと向かうお膳立てができた。竜眼師とマリアの結婚式は、司祭 (という言い方は正確じゃないだろうが……。神主か?) が六芒星のついた杖を持っていたりと独特の世界観が出ていて面白い。竜眼師の花嫁となることを提案されたマリアからは「バカ」10回の攻撃が放たれている。10回の繰り返しは天地球に続いて2回目 (か?) 、前回「3日までにしてくれ」といわれていたが守っていないようだ。
ノアはスーパーデビルからマリアがロココとともに愛の泉へむかったと聞かされ、阻止するためにプラゴラトンを派遣する。
ロココ一行は泉への道 (ウォータ・ロード) の途中、老いた天使・リージェに出会う。彼女を若返らせるために一行の誰かが理力を差し出せば、さきへ進む道を教えるという。ただし、理力を奪われたものは、醜い小動物になってしまうという。一行は反発するが、リージェの力を見せ付けられたことで、ロココは進んで犠牲になる。「どんな姿になっても、心の中はいまのままです」と。
理力を奪われたロココは、醜くはなく愛らしい姿ではあるものの、小動物となってしまった。みぃみぃという鳴き声からみぃみぃロココと命名される。そのみぃみぃ語は、神帝たちには理解することができず、マリアだけにしか通じない。若返ったリージェにしめされた道は、試練の道だった。途中で行き止まりで愛の泉は見えない。騙されたのよ!とマリアは憤る。怒りにまかせてロココにも暴言を吐き、その場から去ってしまう。アリババは後を追う。残された一行のもとにプタゴラトンが現れ、神帝に暗示をかけてロココを襲わせる。
アリババ神帝の説得により、ロココのもとに戻る気になったマリアのもとにも、プタゴラトンが現れた。プタゴラトンはマリアの師匠だった。その彼に天魔界に帰るように説得されると、マリアも帰ってしまおうとういう気になる。そのとき竜眼師の城に向かう前にロココから貰った彼の羽根が、助けを求めてひかり、マリアはロココを救出に向かった。
マリアは、神帝にかかった暗示をとき、ロココを助け出す。追ってきたプタゴラトンはロココを殺そうする。ロココのピンチに、マリアは「天使と悪魔だって愛し合うことができる」と叫ぶ。その叫びを聞いていたリージェは、ロココに理力を返し、そのかわりとプラゴラトンのほうを小動物 (鼠) に変えた。彼らはリージェの試練に合格したのだ。
このあたりは前半の山ともいうべきところで、非常に密度が濃い話となっている。マリアは感情の起伏が激しい。みぃみぃロココが可愛らしい。そのみぃみぃのかわりにされたプタゴラトンが、その後もとに戻ったかどうかは不明
ロココ一行はセシールの荘園にたどりついた。
天魔界のノアはプタゴラトンの報告を受けた。激怒したノアはマリアの心に乗り移って、ロココを倒そうと画策する。これはマリアの心を壊しかねない危険な技だが、天使に操られるよりはマシと言い切る。
ロココとマリアはセシールと会見した。かぐやもロココの通信機を通して参加した。マリアはかぐやの「愛なくしては愛の泉に立ち入ることができない」という認識を知って、通信機を掴んでその場を離れて、彼女を詰問する。マリアは自らの女神としての運命を思ってロココを諦めたかぐやに怒る。逆にかぐやは、ロココとの間柄に素直になれないマリアを叱った。ライバル=友情、を地でゆくふたりのもとにロココが駆けつける。そのとき、ノアがマリアに乗り移ってきた。
ノアはマリアの身体を使ってロココを倒そうとする。ロココはノアを説得しようとするが、彼女は聞く耳を持たない。マリアの意識がよみがえり、乗り移ったノアの意識と口論となる。意識と意識がぶつかりあい、マリアの心は限界に達する。ノアはそれを察知してなんとか術を解いたが、間に合ったかどうか自信がない。マリアの心は壊れてしまったのか?
マリアの心は、死者の国へ続く暗い一本道をさまよっていた。過去の自分や、自分の恋、周囲の反応などに接し、誰も自分をわかってくれないと落ち込む彼女だったが、ロココの意識に呼びかけられ、自分を取り戻す。
ロココとマリアは、愛の泉とは愛の女神・セシール自身であると告げられる。泉の水とはすなわち彼女の理力であると。こうして得たのが、後にもたびたび登場する愛のパワーである。パワーを得た一行は一刻もはやくキャロルのもとへと戻ろうとするが、デビルの軍勢に襲われる。その中には本気でマリアに惚れてしまった竜眼師もいたが、ロココは「マリアは渡せない」と突っぱねる。ロココとマリアは「この場はまかせて」という神帝たちにあとをまかせ、ワープで天地球に向い、恩人のキャロルを救うことができた。しかし、時を同じくして強大な力を持つ悪魔・ウォルフカイザーが復活してしまう。
このあたりがCDドラマになったところ。ノアは「泉の水など取らせるものか」とたいそうお怒りだが、じつは彼女も愛の泉へ行って水を取りたいと思ったことがあったらしい (5巻ルシファーの話) 。ノアとロココとの戦いは、シリーズ中でロココが一番強かった一戦だとおもう。彼は心理的にノアを攻撃できず防戦一方だが、よく耐えていた。これ以降は愛のパワーを手に入れてしまうため、単体でのロココの強さはあまり強調されなくなる。
かぐやとマリアが言い合うところは、それぞれの愛の形がでていて素晴らしい。しかもその違いが友情へと帰結していく。
ところで、マリアは嵌められて結婚させられそうになった相手から、その後追いかけられる運命にあるようだ。ここで出てくる竜眼師もそうだし、1巻でデビルが見合い相手にあてがったバクテ裏闇も後に「おねーーさん」と懐かれていた。これ以降にノアの決定でマリアの婚約者となるカイザーも同じ運命をたどる。

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written in 2002.03.18, rewitten in 2005.04.29